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数学オリンピック1次予選問題解いてみました ( その3 )

はじめに

今年度 ( 2016年1月 ) のJMO ( 日本数学オリンピック ) の1次予選問題を解いた、その説明の続きです。
いよいよ面倒なお絵描きが必要な幾何の問題に行きたいと思います。

目次

解説

例によって、問題文は適宜改変してますので、オリジナルについては冒頭のリンクからご覧ください。

問3

問題

次の図中の角度xを求めよ、という問題になります。

f:id:ange1:20160129015650p:plain

ただし、実際にはこれ全て文章で書かれています。

解説

答えは95°です。

まあ、文章だけだとイメージし辛いので不親切と思われるかもしれませんが、図を起こして状況を把握するところから問題が始まっている、と見るべきでしょう。
実際、この問題は図を描くとあっさり解けてしまいます。

まずは大きさが分からない角に適宜名前を付けてみます。対頂角で等しいところに注意して6種類の角が出てきます。

f:id:ange1:20160129015924p:plain

次に、円の性質を利用しないわけには行きません。次の図のように、円周上の2点と円の外の1点よりなる三角形に対しては、2組、同じ角度 ( 同じ色の部分 ) ができます。円に内接する四角形の角の性質ですね。
※同位角ではないので注意

f:id:ange1:20160129020236p:plain

この問題では4種類の三角形が該当します。この性質により同じ角度と分かる場所に更に追記します。

f:id:ange1:20160129123023p:plain

…導入した未知の角は6種類ですが、これだけ情報が出揃えば何とかなるでしょう。例えば次の部分に着目してみます。

f:id:ange1:20160129020710p:plain

$$ \begin{eqnarray} a&\,& &\,& &+& d&\,& &\,& &+& x&\,& &=&180^\circ \tag{1} \\ &\,& b&+&c&\,& &\,& &\,& &\,& &+& 50^\circ&=&180^\circ \tag{2} \\ &\,& &\,& &\,& &+& e&+& f&\,& &+& 35^\circ&=&180^\circ \tag{3} \\ &\,&b&\,& &+& d&\,& &+& f&\,& &\,& &=&180^\circ \tag{4} \\ a&\,& &+& c&\,& &+& e&\,& &\,& &\,& &=&180^\circ \tag{5} \\ \end{eqnarray} $$

それぞれ、3か所の三角形の内角の和、2か所の平角 ( 要するに直線の傍らの180° ) の条件です。
式(1),(2),(3)を足して(4),(5)を引くとxのみが残る、という寸法です。

…あれ? 角Qと角Rの大きさ、実は要らない??

問5

問題

こちらも幾何の問題ですが、まずは文章だけでいきます。( 実際の問題も文章だけです )

  • 四角形ABCDにおいて以下の状況が成立する時、三角形BCPの面積を求めよ
  • AC=20, AD=16
  • 辺CD上に点Pがある
  • 三角形ABPと三角形ACDが合同
  • 三角形APDの面積は28

解説

答えは、$\frac{63}{4}$です。

こちらも図の描き方 ( 上手い・下手ではなく、どう情報を整理するか ) が重要です。
四角形ABCDとあるからといって、いきなりABCDを描くのは悪手です。重要なのは「合同」という条件。つまり、長さが同じ辺、大きさが同じ角が3組できることを意識して2つの三角形から描きます。

f:id:ange1:20160129124922p:plain

同じ色の辺が同じ長さ、同じ色の角が同じ大きさを表します。紫で塗った三角形APDは面積の分かっているところ、黄色で塗った三角形BCPが面積を求めるところです。

さて、こう整理すると二等辺三角形ができて…というのもあるのですが、着目すべきは角の方。なぜならば、これが同じ円の円周角になるからです。つまり、4点A,B,C,Pは同一円周上にあります。
円が先にあって等しい円周角を見つけるのと同じように、等しい角から円の存在を見出す、というのは良くある攻略法です。
さて、同一円周上にあることが分かれば、もう1組の円周角も見えてきます。

f:id:ange1:20160129132324p:plain

はい。そうすると、実は図の右側のようにシンプルな面積比較の問題であったことが分かります。 2か所の ( 色を塗った ) 三角形は、角が共通ですから、その角を挟む辺の積の比がそのまま面積比になります。
すなわち、 $$ \begin{eqnarray} \triangle{B CP}&=&\frac{BP\cdot CP}{AP\cdot AD}\triangle{APD} \\ &=&\frac{CD\cdot CP}{b^2}\triangle{APD} \end{eqnarray} $$

おや。こうするともはや点Bすら要りません。CDとCPの積を求める問題になってしまいました。

…ここからCDやCPを求めにいっても良いのですが、計算が面倒くさいまだ二等辺三角形であることを活用していません。そこで、PDの中点Mと、不明なところの長さx,y,hを導入します。丁度AMはCDへの垂線であることに注意。

f:id:ange1:20160129134630p:plain

そうすると、実はCDとCPの積というのは、x,yの和と差の積になっていることが分かります。加えて、直角ができているところから関係を整理すると、 $$ CD\cdot CP=(x+y)(x-y)=x^2-y^2 \\ x^2=a^2-h^2 \\ y^2=b^2-h^2 \\ \therefore CD\cdot CP=x^2-y^2=(a^2-h^2)-(b^2-h^2)=a^2-b^2 $$ 簡単な形だけが残りました。結局、 $$ \begin{eqnarray} \triangle{B CP}&=&\frac{CD\cdot CP}{b^2}\triangle{APD} \\ &=&\frac{a^2-b^2}{b^2}\triangle{APD} \\ &=&(\frac{20^2}{16^2}-1)\cdot 28 \end{eqnarray} $$ を計算して終わりです。

続き

幾何の問題は何せ文章だけですから、状況を把握するのにひと手間かかるのですが、恐れずに挑戦すればわりとあっさり解けたりするので、獲っていきたいところですね。